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首都直下型地震報道について

首都直下型地震報道についてどうもミスリードな感じがあるのでまとめた。ツイッターの内容とほぼ同じ。

今後4年以内にマグニチュード7クラスの首都直下型地震が、約70%の確率で発生するという試算報道に対して元ネタが東大地震研から公開された。不満があったのか以下の文章がある。「報道関係の方へ:関連する内容を掲載の場合は,個々人の取れる地震対策にも触れてください。」http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/shutoseis/

元々30年以内に70%の地震なので,体感的にはどちらにしろいつ起きてもおかしくない地震である。元のHPにも,日本であれば,首都圏に限らず,どこであってもM7程度の地震が起きることが考えられます,と書いてある。マスコミは書かないけど。

ちなみに上記の確率も,1885年以降のM7クラスの地震と,最近の小地震の発生頻度からG-R式で算定した値なのであくまで経験則というか参考値である。なんで今更公表するのかと思ったが,文章を読むと注意喚起みたいな意図らしい。しかし結果的に不安を煽っただけのような印象である。

報道の首都圏直下M7クラスの地震は1885年以降5回発生している。そうすると発生頻度は約25年,直近は1987年だから経験上はいつ起きてもおかしくないとなる。ただし首都圏で5回といっても東京湾が1回であとは茨城2回と千葉と浦賀水道。想定範囲も広い。こう書くと印象が変わるだろう。

また,報道の首都圏直下地震というのは深さ30-80kmのプレート間・内地震なので,阪神大震災のような浅い内陸地殻内地震とは別物。先日のプレート内を伝わる波の話もあるので一概には言えないが,深さ10kmと30kmでは揺れはそれなりに違う。過去の5地震でも死者は31人が最大であとは一桁。

なお,浅い内陸地殻内地震もM7クラスはどこで起きてもおかしくはない。ただし今回報道されている地震とは発生確率のオーダーが違う。最近では中越・能登半島・中越沖・岩手宮城等良く起きているので発生確率もあてにならないものだが,地震研はこの辺も念頭に置いて書いていると思われる。

あと念のために書くと,M8クラスの関東大震災は別扱いである。測地学的データや元禄地震との関係から,概ね200-400年間隔とされているので1923年からカウントすると,しばらくは起きないということになる。また1885年以前の地震では安政江戸地震の死者が4桁と多いが深さに諸説ある。

以上の点を踏まえて2chのまとめサイトを見れば違う視点から楽しめるだろう。3.11の地震もあり,突き詰めると地震はわからないというのが結論なのだが,ある程度情報をもって恐れた方がよいと思う。M7級の地震を想定する必要はあるが,今回の報道のみで過剰におびえる必要性は全くない。

by beam-column-joint | 2012-01-25 22:20 | seismo  

中 越 沖

ひさびさに自分のblogをのそいたら最新の記事が能登半島地震で
だいぶびっくりした。まさか連続で地震の話題になるとは。
更新頻度が低いのか。地震の頻度が高いのか。

前の記事にも同じこと書いてるが,
揺れ始めた瞬間にやっぱり長周期なので嫌な予感がした。
あー日本海側っぽいーとか思っててテレビつけたら・・・あう。
すんごい不謹慎だけど最初に思ったのは
『なにも1級建築士試験の1週間前に起きなくてもいいじゃん』
だった。でもまあ会社行くために風呂はいってでてきたら
『なんかモクモクしてるんですけDoooooooo!(このときフルチン)』
(全然関係ない話だけど,「どんだけー」って日常で絶対使う場面ねえって
思ってたんだけど、この言葉の使い方がはじめてわかった。)

・・・というのがその週のはじまりで,建築士試験の前は怒涛の1週間だった。
すごいタイミングで歴史が変わる瞬間というのを味わってしまった。
結果、試験は施工が昨年の足きりギリギリでだいぶグレーな結果に。
でもこうなった原因は地震のせいじゃなく、たぶん前日にみてしまった
「時をかける少女」で胸がキュンキュンしてたからだね。

さてさてそんなわけでこの地震とそれに伴う事象については,
こういう場では書けないことが多すぎるので詳細はなし。

しかし,姉歯の時と同じくマスコミの報道にイライラすることが
多いのでちょっとだけ言及しておくことにする。
(そんなことはわかりきったことではあるのだが。)

ひとつはもうわかりきっていることだが都合のいいところだけ
抜き出すパターン。下は一例。

報道はこちら(everyday新聞)
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070724-00000045-mai-pol

元の会見はこちら。
ttp://www.meti.go.jp/speeches/data_ed/ed070724j.html

間違ってはいないのだが,欲しい発言を強引に取り出していることがよくわかる例。
しかも3.6倍の揺れが来たらしい。(意味がよくわかんないけど,
ほんとにそれでもつ建物ってあるんかいな)


ふたつめは専門の知識がない人が速報を真実だと思って報道すること。

地震直後の報道(海域の断層)(everyday新聞)
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070718-00000040-mai-soci

最近の報道(時事通信)
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070728-00000024-jij-soci

それを受けての報道(陸域の断層)(everyday新聞)
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070728-00000013-mai-soci

どっちに転んでも批判的な書き方にはなるわけだが。(everyday新聞ゆえ)
個人的にはまだ断層モデルは変わると思っているが,
(余震分布からすつと北と南が局所的に北西傾斜,中央部は南東傾斜)
知見が固まる前にそれにこじつけて自分達がいいたいことだけいうのはいかがなものか。

ちなみに地震・断層関係の詳細はこちらがわかりやすい。
(東大地震研。上記の話は全部のってる。)
ttp://www.eri.u-tokyo.ac.jp/index-j.html

で批判ばかりしているが事業者側にも当然問題があるわけで
致命的な問題が起きていないことをよしとして改善していけば
いいと思うのだが。そのあたりは下記の社説にも書いてある。
とはいえこれは風評被害がひどいので態度を急変させて
書いたと思われ,あまり感心はできないのだが。

ttp://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070725ig92.htm

まあそんな感じの近況報告になってしまった。
次は楽しい記事になる予定ですよ。

by beam-column-joint | 2007-07-28 22:55 | seismo  

能登

年度末の忙しさが一段落して,来週から暇だなあと思って某学院で授業を受けていたらすんごい長周期の揺れを感じたのが3月25日だった。中越の時と似ていたので遠くて規模の大きい地震だろうと思って,しばらくして携帯電話でネットを見たらM7.2の文字が・・・。
『内陸地殻内地震で7.2=去年の仕事全部パー』
ぐらいな方程式が浮かんで眩暈がしたんだけどまあ最終的には6.9に落ち着いて一安心。

とはいえ会社で調査に行くことになり,年度末終わり⇒遊ぶプランは破綻に。しかも観光シーズンなのか車と宿の確保が難しく福井から輪島に行って一日で福井に帰ってくる強行軍。そんな準備やら報告書やら発表やらAIJやらでブログ更新もしなかったという言い訳を長々と書かせてもらった。

で今回の能登半島地震の被害の特徴はもう色々書かれているし,被害写真を載せるのは被害を受けた方に対してどうかと思うので,公共の建物か地盤とかに限定して簡単に。地震被害の特徴は以下の通り。

①被害が大きいのは建築年代の古い木造が大半(特に全壊してるのはピロティ建築)
②液状化および地盤沈下に伴う建物の損傷(こちらはRCでも被害が見られる。)

 ということでRCとかSに被害がないのでK学会もあまり動く気配はなさそう。実際建築をやってる人から見ると,言い方は悪いが,壊れた建物に違和感がなく(つまり①)、耐震構造的に新しい知見はないのかもしれない。
 しかし地質とか地震動分野からすると色々と興味があると思われ,例えば,あまりにRCの被害が少ないことと関係するけれども,被害が大きかった地域では1秒くらいの波が卓越していて,この原因に関する論文などは(もうある程度出てきているが)AIJでも出てくると思われる。

 よくわからないことをだらだらと書いたが,去年違う分野に入ったおかげで,建築の構造以外の視点から地震被害を見れるようになったのは良いことなのかもしれない。そんなわけで違う土俵2年目。そろそろ専門違いますんで的な言い訳も使えなくなるのでまあそれなりにがんばっていこうかなと思う。

 以下は被害者感情に触れないような被害写真(木造住宅なし)。
d0049137_17542765.jpg
富来
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関ノ花
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道下
d0049137_17581719.jpg
七尾市田鶴浜支所

by beam-column-joint | 2007-04-14 17:58 | seismo